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GOTHAM シーズン2、2話時点での感想と考察

!GOTHAMシーズン2、2話までのネタバレ注意!

 

 

感想

 洋ドラのGOTHAMが面白すぎる。バットマン歴二ヶ月、主要な映画は大方見たので長編ドラマシリーズである本作品に手を出してみたらまあ面白い。話の展開が面白いだけの作品は一回見たきりで満足してしまうけど、本当に面白く、何週もしたくなる作品というのは映像、音楽、考察のしがいのあるストーリーなどが盛り込まれているのだと実感できる。特にこの作品は映像の構成が素晴らしいと思う。どこで一時停止をしようが、どんな場面だろうがすべて一枚絵として成り立つような画面構成になっている。

 現在はシーズン1を見終わり、シーズン2に突入した段階だが、一つ懸念点がある。シーズン1が神すぎて今後の話の展開を超えられる気がしない。もちろん24話分作品を見てきたためキャラクターに対する愛着もあり、行く末を見守りたい気持ちはあるけどシーズン1ほど熱を持って視聴できるか分からない。

 

 自分がこのドラマで特に好きだったのはギャングたちの勢力争いやペンギンの下剋上周りのストーリーだ。以前龍が如くにハマっていた影響もあり、暴力団関係の話が細かく描写されている作品をみると異常にワクワクする。マローニが死に、フィッシュが海に突き落とされ行方不明(死亡?)、ファルコンが隠居した今となってはペンギンがゴッサムの王になった訳で、これまでの勢力争いの話は今後減るだろう。

 

 他にこのドラマで好きだった要素は3つ。1つは一話、二話程度で完結する短編の事件が普通に刑事ものとして面白かったところ。相棒であるブロックと共に(割と無鉄砲ながら)事件を解決していく展開に今後もなってくれればこの要素はまだ残っていると言える。

 2つ目はバーバラとジムの関係。シーズン1でも初期の頃ではあるが、バーバラが現在のような負けヒロイン(使い方合ってる?)ではなく、ちゃんとしたヒロインとして話の中心にいた頃が好きだった。ごめんけど、現在のジムの恋人であるドクター・トンプキンスと親密になってからというものの、ジムが腑抜けているように見えてならない。というか、自然消滅的に分かれるんじゃなくて直接別れを切り出していれば、オーガの誘いに乗るようなこともなかったんじゃなかろうか。ヒロインを、主人公が全力を挙げて守る展開を期待していたけどそういうのは古いのかな。

 3つ目が、エドワード・ニグマ関連のストーリー。死体で遊んだり逐一なぞなぞを出して同僚に鬱陶しがられるニグマが、緊迫したシーンでも安定したギャグ要因だったところが好きだった。発狂した今となってはそれも望めないか。それはそうと、ニグマのキャラクターは普通に面白いと思う(個人的にGOTHAMにおいて1、2を争うレベルで気に入ったキャラである。気に入りすぎて他サイトで小説も書いた)。ニグマに関する細かい考察は、記事の後半に書こうと思う。

 

 以上のように、好きだった4つの要素のうち3つはもう望み薄となっている。とは言えいい加減変化は必要だ。これからどうなるか分からないけど、このシーズンには新しい展開に期待している面もある。シーズン1が起だとしたら、シーズン2は承として前回までの話を膨らませつつ、今後何十話と続くGOTHAMに期待を持てるような展開になってほしい。こうなってほしいとかは無いけどとにかく面白くなってくれれば満足だ。

 

 

ざっくりとしたキャラごとの印象(飛ばしてよい)

 14話時点で抱いていたキャラごとの印象をメモしたもの。気になる人物のみ書いている上、内容が薄すぎるので飛ばしてよい。のちに印象の変化が起こったキャラは矢印で補足している。

 

ジム…犯罪者にモテモテ。早くバーバラとよりを戻してほしい。いつも危ない橋を渡る→美人検視官が恋人になって腑抜けている

ブロック…ジムのことが好き。表面上はのらりくらりと生きているが内面的には不器用で割り切れずにいるところが多そう→普通はいいぞおじさんになったと思ったら一瞬で警察に帰ってきた

バーバラ…ジムのことが好き。浮気したよね?かなり賢くていい人なのにあの一件以来ザーズの影に怯えてるのがつらい→オーガのこともあり、本当にカウンセリング受けてほしいし幸せになってほしかった。めちゃくちゃ闇落ちしてるの悲しい

ブルース…マジでこのまま順当にバットマンになりそう。カウンセリングとか受けた方がいいと思うんですけど

ルフレッド…執事なのに割と思考が脳筋

セリーナ…既にキャットウーマンとして完成してる気がするけどお母さんの話も気になる→人を突き落とすなんてブルースのこと好きなんだなあと思ったらいつの間にかギャングの一味に

アイビー…早くも魔性の女の片鱗を覗かせる

フィッシュ…引きずり降ろされてもただじゃ引かないところが好きになってきた。普通にかっこいい→カリスマ半端じゃない。絶対どこかで生きてる。

ブッチ…ブッチすこすこのすこ。兄弟殺しとか相当覚悟ありますよ。絶対裏切らん→訓練ってナニされたんですかね。フィッシュと再会して幸せになってほしい

ペンギン…命乞いを何度も見せてくれる。野心家でずる賢いけど詰めが甘くてお調子者。でもこのまま気づいたら上り詰めてそう→上り詰めた。言動が演技ががってるのは母親の影響か

ニグマ…後に怪人化するとしても味方キャラにいていい人間じゃない。もはや既に怪人→殺人の時は案外余裕が無かったのが意外。でも死体をロッカーに詰めた時点でどこか狂ってたと思う

ミス・クリングル…正直どんな人かまだよく分からないけどニグマとの掛け合いが好き→ダメな男ばっか好きになるけど今後そのダメな男にニグマも入りそうで今から全部辛い

 

 

 

キャラクターの考察

ニグマ

 ニグマはGOTHAMの中で一番面白いキャラクターだと思う。エドワード・ニグマという名前が表す通り、のちにバットマンの有名ヴィランであるリドラーになることが確定しているからだ。そんな人物を味方として、しかも警察の内部の人間として描いたことが凄く斬新というか画期的である。

 知的好奇心に基づいて行動し、仕事中でも上司への報告でもなぞなぞを出して仲間からは変わり者の烙印を押されている。資料室のクリングルさんを好きな気持ちは本物だったり、仕事は優秀で自分の能力への自信はあったりと、掘り下げれば掘り下げるほど本当に面白い。あと案外ロマンチスト。勝手に検視室に入り遺体を解剖しつつ遺体になぞなぞを出したりサスペンダーを引っ張ったりして遊んだり、嫌いな前任検視官をクビにするためにピッキングした検視官のロッカーに盗み出した死体を詰め込んで濡れ衣を着せるなど、初めから(作中で何のきっかけがあるでもなく)狂気的な行動をしていた。そのため、もうこのキャラはリドラーというヴィランとしての土台は完成しており、あとはちょっとしたことで犯罪者になるんやろなあと思っていた。

 

 なので、殺人をきっかけに別人格が現れたのは本当に意外だった。ニグマが自分のことを「僕」と言うのに対し別人格は「俺」と言い、『ふたりの男とひとりの女』に登場するハンクのようなイケイケで野蛮な性格をしている。リドラーのキャラはあまり知らないが、多分今後こっちの人格に乗っ取られるんじゃないかなあ。この別人格について少しだけ考察したい。

 

 『ふたりの男とひとりの女』では、善良で気が弱く心の優しいチャーリーの長年ため込んだ怒りが、膨れ上がり爆発した結果ハンクが生まれた。だが、ニグマの場合は元々の善良な人格(ニグマ)と、抑え込んでいた暴力的な人格(新しい人格)に分かれたというのはどう見ても違う気がする。前述した死体遊びや死体ロッカーの件を見ても、ニグマの別人格の持つ狂気的な部分は元々の彼も持っていた。それを抑え込もうとしたことが一度でもあっただろうか。

 

 ここで、人格が分かれる瞬間のシーンに目を向けてみよう。ことの経緯はニグマが片思いしているクリングルさんの新しい彼氏、トムがクリングルさんに暴力を振るっていることを知り、なんやかんやでその彼氏をめった刺しにして殺したことだ。その死体を処理し終え、クリングルさんに詮索されないためにトムからの偽装の手紙を渡すが、その手紙に自身の犯行をほのめかすような内容を残してしまったため、クリングルさんに疑われる。その、疑われた直後に人格が分かれるような描写があった。

 ここからが本題なのだが、人格が分かれるそのシーンで、「何笑ってる、面白くないぞ」「なぜ手がかりを残した?なぜだ!」というセリフや、なぞなぞを言おうとして「やめろ!」と言っていることから分かることがないだろうか。そう、これらはすべて悪いユーモアの否定だ。人を殺し、好きな人にそれを疑われているという状況での笑いやなぞなぞは、明らかに悪趣味な笑いであるし、あえて手紙にNygmaと残し爆笑していたこともこの上ないくらい趣味が悪い。

 

 悪いユーモアを言いたい、行いたい自分と、好きな人に殺人の罪がバレるのを防ぎたい自分が対立して「抑え込もうとした」結果、ニグマのもう一人の人格が生まれたのではないだろうか。悪いユーモアの部分が弾き出されたとも言える。

 以前行っていた死体遊びや死体ロッカーも確かに悪いユーモアではあるが、自分自身の立場や知的好奇心との対立が起こらなかったために、狂気を持った一般の鑑識として生活を送ることができたのではないだろうか。

 

 そう考えると、人を殺した時点ではまだ正気(人格が分かれていない)であり、クリングルさんに疑惑の目で見られたあのタイミングでユーモアの方の人格が生まれたことも納得がいく。トムの頭蓋骨に話しかけているシーンでもまだ正気(人格が分かれていない)だっただろう。シーズン2に入り、しきりに手を洗っているシーンがあったことも、悪いユーモアを弾き出したことの証拠なのではないだろうか。

 

   結論としては、彼は作品の初めから怪人などでは無かった。ましてや、好きな人に疑われたことは「ちょっとしたこと」などではなく、自身の人格に含まれている要素を自ら否定するという大きな転換期であると言うことができる。そして、変わり者の鑑識時代のニグマは、まだ怪人ではないもののリドラーの狂気を着々と育んでいた。犯罪に興味を持ち、死体を利用し、人と溶け込まずになぞなぞを連発しては自己満足の笑いに浸る。まだ彼の今後の展開は分からないが、シーズン1のニグマはそういう人だったのだと思う。

 

 

 ここから余談。どうせ好かれてない、僕の気持ちを知ったうえで邪険にしてる、などと本格的に自覚した後でもまだ彼女のことが好きだったり、思えばニグマが人を殺したのも、ユーモアの方の人格が生まれたのもクリングルさんがきっかけだったり、ニグマが一途すぎて辛い。個人的にニグマとクリングルさんの関係が好きなので、シーズン2、2話にて彼女をかばったところで今年一番沸いた。ほんでその後のちょっといい感じになってるシーンでようやく報われた感が嬉しすぎて泣いたんだけど、今後2人がくっついたとしてもユーモアの方の人格がめちゃくちゃにすることを考えると悲しくなってくる。これが人を殺す前だったら、彼がニグマがエドワード・ニグマでなければ上手くいったろうに。ニグマの今後がつらい。

 ところで、ニグマ発狂シーンは見れば見るほど面白いので必見。ここばかりは吹き替え版で見ることをおすすめする。「彼女が怖がるようなましな男に…そういう言い方はよせ!」と言った後に「なぞなぞはよせ」というドクター・トンプキンスを探しているシーンのジムのセリフを連想するなど、本当はあまり関係のないセリフを状況に結び付け、誰かに何かを言われている体で自分の中で葛藤しているのだ。そういう時はたいてい、異様に頭が回っているタイミングだったりして、なかなか連想ゲームを辞めることはできない。悪い方向に考えが逸れることも多いので、実際にやるのはおすすめしない。

 

 

ペンギン

 ペンギンもこの作品の中で好きなキャラクターの一人。どう見ても、いつまでも小物なのにかなりずる賢く冷酷で、気づいたら上り詰めてゴッサムの王にまでなってしまったところがかなり魅力的だ。

 ペンギンは、1話にてジム・ゴードンに命を救われてから、ジムのことを友と呼び、他の誰と合うよりも明らかに一番嬉しそうな表情を見せている。なのでてっきりペンギンはジムのことが好き(恩と呼ぶ以上の何らかの好感)なのだと思っていたのだが、最近そうも思えなくなってきた。

 そう考えた主な要因は、ローブ本部長の別宅を訪ねたシーン。銃を向けて向かってくる老婆マージから命を救われた際、ペンギンはジムに対して「命の恩人だ」と言った。結局、老婆とはグルだった(どのタイミングで根回ししたかは不明)ため、ジムに助けられることを初めから分かっていて「命の恩人だ」などと言った事になる。思えば彼の言動はかなり演技ががっており、あえて飄々として見せるシーンが多くある。この特性は、確実に芝居好きの母親の影響だろう。命乞いをして見せたり、自身を実際以上に残酷に見せたりして人を動かすのはこのペンギンの得意分野だが、それも彼の演技力のなせる技なのではないだろうか。

 ところで、身に覚えがあるだけで根拠とかは無いんだけど、ペンギンの母親のような親は自分の狭い世界の中だけでで子供を育てようとしがちだ。理解できない周囲の概念を取り込もうとしないため、子供はすごく窮屈な思いをして成長する。親や家族の茶番に(好き嫌いに関わらず)付き合わなければならなかったりするのだが、それをペンギンの母親にも感じた。ペンギンの野心の強さの源流は、母親との窮屈な生活から来ていると思うのは考えすぎだろうか。

 

バーバラ

 バーバラはシーズン1頃からかなり愛着のあったキャラだ。だってメインヒロインだし。可愛いし。

 自分は、本当にバーバラが両親を殺したとは思えない(バーバラ自身もよく分かっていないようだった)。オーガが両親を殺すシーンが強烈に頭に残ってしまい、自分の見たものと自分が行ったこと、つまりは主客がごちゃ混ぜになったに過ぎないのではないか。あの一件以来、「オーガ」になってしまったバーバラを悲しく思う。

 余談だが、ドクター・トンプキンスに対して「先生が好き」と言った時、「あ、ほんまに好きなんや☺️」とほっこりしてしまった。違ったらしい。

 

 

 

 以上、GOTHAM面白いねという話でした。現在シーズン2の4話を見ている最中だけど、シーズン2も割と期待して良さそうで嬉しい。